外国人労働者の受け入れ制度の変化

外国人労働者の受け入れ制度は、近年、急速に法整備が進んだ分野の1つだと思います。
大きなものとしては、2017年に技能実習法が、2019年には入管法改正により特定技能制度が新設された入管法改正が施行されました。
これまでの制度が実情に合わなくなっていたこと、あるいは、外国人労働者の搾取が社会問題となっていたことなどに対応するものと言ってよいと思います。

受入の拡大とそのための制度整備

従前から我が国の法制度は、専門的な知識や技術を持つ外国人のみの就労を受け入れるのが基本的な枠組みであり、基本的には高度専門職に限って認めるという方針だったため、かなり限られた状態でした。しかし、社会のグローバル化や、労働力の不足などの社会情勢の変化にかんがみ、外国人をある程度積極的に受け入れていく方向にシフトしていくことになりました。

従前から、同じような要請により、技能実習制度が採用されてきました。この技能実習制度は、外国人への実習の機会を提供し専門的な技能を身に着けさせる社会貢献の制度と位置付けられています。しかし実際には、単純労働の労働力として利用されているという実態があり、しかも、法制度が不十分で、搾取されるケースが後を絶たず、社会問題となっていました。このことから、技能実習生の受け入れ拡大とともに、規制の強化により外国人を保護するべく、技能実習法が施行されました。

また、在留資格の範囲を広げ、その枠組みの中で、いわゆる肉体労働の側面もある14の分野について、一定の知識や経験があることを条件に、「特定技能」という在留資格を創設しました。これらは従前は、単純労働とみなされていた業種でした。ただし、これにより、高度専門職に絞るという状況ではなくなったものの、あくまでも一定の知識や経験を要求するという枠組みは維持されました。

技能実習、特定技能、いずれの資格も、今後分野が拡大し、さらに受け入れ外国人が増えることは間違いないと思われます。

極端に厳しい規制強化

外国人の搾取が社会問題化したことによる反動として、これらの法律は、外国人保護のための政策が徹底されています。

まず、いずれの資格にも日本人と同等額以上の報酬が必要とされています。外国人であっても日本人レベルの報酬が必要ということは、例えば日本語が十分話せず担当させる業務が限られるという問題があるとしても、それを理由に給与を下げることは許されないということです。

次に、労働・社会保険及び租税に関する法令の規定の遵守が要求されていることも、両制度共通です。そのこと自体は当たり前と思われるかもしれませんが、労働法規を遵守しなければならないということは、例えば、残業代の不払いなども立派な労働法違反です。
また、深刻な労災が発生する場合には、労働安全衛生法違反があったケースが少なくありません。これらの違法行為に対する制裁は、非常に厳しく、外国人の受け入れ資格の停止まで直結しかねないものです。例えば、小売業の店舗で、日本人従業員に看板の回収などのための高所作業をさせた時に転落死亡事故が発生し、その際、安全帯の着用が不十分で労働安全衛生法違反に該当するような場合、この作業に外国人が全く関係なくても、その後何年にもわたり外国人の受け入れが全くできなくなるなどという事態もありうるのです。

さらに、備え付けるべき帳簿や、何か変更があった場合の登録手続も、極めて厳格です。

全ての違反が強い制裁に直結するとは限りません。軽微な違反の場合には、口頭の注意で終わるケースもないわけではありません。

しかし、全体として、今後取締が強化される方向なのは確実と思われます。少なくとも「これくらいはいい」という軽い気持ちで違反をするような業者は、次々に淘汰されていくでしょう。

受入機関(監理団体、登録支援機関)となるにせよ、雇用先(実習実施者、特定技能所属機関)となるにせよ、技能実習生や特定技能外国人を受け入れていくためには、相応の覚悟と厳格な運用が必要です。

個別の在留資格(技能実習、特定技能、その他の従前からの在留資格の各概要)については、別ページで説明します。

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