就業規則はきわめて重要

経営者の皆さんは、自分の会社の就業規則の内容を十分把握しているでしょうか。
ひな型を安易に利用したり、社労士さんの準備した就業規則をろくに読まずに利用したりしていないでしょうか。そもそも従業員が少ないから義務ではないと、就業規則なしのままでいたりしていないでしょうか。
就業規則は、実は多分皆さんが思っているよりも重要です。

例えば、とんでもない社員がいた場合に、懲戒解雇をしようと思っても、実は懲戒解雇は就業規則に規定がなければ出来ません。
会社のお金を1億円横領した従業員を解雇しようと思っても、普通解雇しか出来ませんから、退職金や解雇予告手当を支払わなければいけなくなるのです。
懲戒解雇だけではありません。戒告や減給といった比較的軽めの懲戒も、就業規則に記載する必要があります。
もちろん、懲戒解雇、その他の懲戒の規定のないひな型はほとんどないでしょうから、就業規則があれば、さすがにこのような事態にはなりにくいです。

 

しかし、条項は、どの会社にも共通というわけではありません。個々の会社に合った規定を設ける必要があります。

私が労働者側で担当した残業代の請求の事件で、会社は管理監督者だから残業代を支払う必要がない、という反論をされたのですが、就業規則を確認すると、そのような規定がないというケースがありました。

労働基準法では、残業代を支払わなければならないという労働基準法の規定があるのですが、管理監督者は適用除外とされています。
しかし、その会社の就業規則には、従業員に残業代を支払うという規定だけで、管理監督者という概念がなく、管理監督者には残業代は支払わないという規定はありませんでした。

労働基準法の規定は、あくまでも管理監督者に残業代を支払わなくてもいいという規定であって、支払ってはいけないという規定ではありませんので、このような就業規則の場合、管理監督者に該当しうる地位の人でも、残業代を支払わなければいけないことになります。

 

さらに、就業規則がある場合でも要注意です。意外と多いのが、所定の手続を無視して懲戒処分をしているケースです。
私が実際に依頼を受けたケースでは、一部上場の会社であるにも関わらず、懲罰委員会を開いて手続を進めなければいけないのに一切開かれた形跡がないまま懲戒解雇しているケースがありました。

また、就業規則は、従業員に周知する必要があるとされています。周知していない場合、効力が否定される可能性があります。
つまり、会社の実態に応じて就業規則を適切に作成し、従業員に周知し、就業規則に従って適切に会社を経営して初めて、就業規則はその機能を果たすのです。

顧問契約における就業規則チェック

顧問契約を交わして頂いた場合、就業規則については、ご希望に応じてリーガルチェックをさせて頂いています(締結後1年以上の顧問契約継続が条件です。契約締結の段階でチェックに着手します)。

顧問の社労士さんがいらっしゃる場合、就業規則は作成してもらっているかもしれません。しかし、その内容については、必ずしも会社の実態に即していないケースもあるようです(社労士さんとのコミニュケーション不足の場合もあれば、会社の発展により詳細なものに変える必要があるのに放置されている場合もあり得ます。)

弁護士の視点は、社労士さんに比べて、日々の通常業務よりもトラブルが生じた時の目線が強くなります。異なる視点からのダブルチェックは有用と思います。

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