クレーム対応の重要性

クレーム対応は、現代の企業の経営にとって重要な位置を占めています。

ネットの普及により誰もが発信者になれるようになったことなど、いわゆる「炎上」によるリスクが生じたことなど、以前に比べて重要性が増したといえます。

実は、クレームというのは、毒にもなれば薬にもなる面があります。

おそらく、クレームというのは、基本的にはマイナスイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか?

確かに、クレームというのは、対応にエネルギーを要するものですし、不毛なクレーム、有害なクレームも少なくありません。

例えば消費者向け小売業など、多数の顧客を相手にする仕事では、費用に見合わない結果を求める人も一定数います。そういった方からのクレームの中には、どうしても受けいれられない、むしろ拒否すべきクレームもあるでしょう。

そういった不当なクレームに過剰対応したばかりに、経営危機を招くケースもあります。
例えば住宅の建築など、1件1件の代金が大きく、かつ料金の相当部分が後払いの場合などでは、クレーム対応しなければ代金がもらえないからと、見切り時が難しいケースもあります。
中には、見切り時を誤り、不当なクレームにまで過剰に対応したために資金ショートし、倒産にいたるということもなくはありません。

会社の危機の原因になるという意味では、マイナスイメージを持たれるのも当然でしょう。

一方で、クレームにはメリットもあります。経営者の方々には言うまでもないことと思いますが、改善のきっかけになる情報の宝庫でもあるからです。

顧客の視点から指摘されることで、改善すべきポイント、ビジネスチャンスを発見するきっかけにもなりえます。

したがって、丁寧に対応することは、企業の発展に取って必要不可欠です。

つまり、対応すべきクレームには適切に対応し、不当なクレームには毅然と対応することが、企業経営にとっては必要不可欠なのです。

クレームの切り分け分類

クレームと一口に言っても、明らかに自社に問題があるので対応が必須の場合もあれば、ほぼ言いがかりで、対応する必要はない、きっぱりと断るべきものまで様々です。

ただ、きちんとした仕事をしている会社であれば、違法なことをやってしまい直ちに対応するべきというクレームは、さほど多くはないはずですし、仮にそのようなケースがあれば、迅速に対応されていることと思います。

多くは、法的には対応する義務はないけれども、クレーム主の言い分も一理ある、といったタイプのものです。

こういったクレームは、業務改善のきっかけになることも多いものです。

多くの人が不満を持つ点であれば同様の指摘が多くなりますから、組織として対応できる対応を整えることで、クレームを拾い上げやすくなりますし、改善策を検討することが出来ます。

そうすれば、同様のクレームを減らすことができますし、他の同業者が対応していないことであれば、差別化による業績アップのチャンスにもなります。

費用対効果を考えつつ、改善を図っていくことは、企業として非常に重要なことです。

一方で、中には、どう聞いても無茶な内容のクレームというのもあります

もちろん、こういったクレームも、丁寧に対応することで乗り切ることも経営の上では重要です。

しかし、中には、理不尽なクレームを繰り返し行う人もいます。

こういった言い分にはむしろ、毅然とした対処が必要です。このようなクレームの典型例は暴力団によるみかじめ料の請求ですが、さすがに最近はそういったケースは少なくなっているようです。

ただ、一般の方でも、費用対効果に全く見合わない過度のサービスを当然のことと思い込んでいる方もいます。そういったクレームにつきあいすぎると、多くの損失を招くことになりかねません。

クレームの内容を把握して切り分け、ここに対応方針を確立していくことが重要なのです。

弁護士の役割

クレーム対応における弁護士の役割は、大きく分けると2つだと思います。

1つめは、クレームの性質について見極めるお手伝いをすることです。

違法行為に対するクレームは、早期に対処しなければいけません。

放置すれば、会社の評価を大きく下げることにもつながりますし、場合によっては、行政指導や刑罰の対象になるということも考えられます。

したがって、法律遵守については、常に意識しておかなければいけませんし、万が一違法行為があった場合にも、早急な事後処理が大切です。これらについては、法律の専門家である弁護士のサポートが有用なのは、お分かり頂けると思います。

同じくらい重要なのは、対処すべきか微妙な案件についての判断です。このような判断について、自社で判断したのでは、ともすれば偏りがちな部分があります。外部の人間にアドバイスを求めることで、そういった偏りを是正することができます。能力の面でも守秘義務の観点からも、最も適切な相談相手は弁護士だと思います。

2つめは、明らかな不当なクレームに対し、毅然とした対処をすることです。

弁護士が依頼を受け、交渉の矢面に立つことで、会社から矛先をそらすことができ、会社の負担を避けることができます。つまり、会社としては、弁護士に任せているので対応できない、という返答に終始して頂ければ結構なのです。

相手方に対しては、弁護士が壁役になります。

明らかに不当な要求(本人にも無理筋だとの自覚がある場合)については、多くの場合、弁護士が交渉相手となることで、クレーム主はそれ以上の対応をすることなく収束します。意外に思われるかもしれませんが、暴力団ないしは暴力団まがいの言いがかり案件について、この傾向はむしろ顕著です。

客観的には不当なクレームだが本人の中では当然の要求だと思い込んでいる人もいます。そういった方の中には、裁判を試みる方もいなくはないでしょうが、不当要求の場合にはほとんどないと言っていいでしょう。

最近では、法的にどうにもならなくとも、インターネットでの誹謗中傷を試みるというケースの方があり得ると思いますが、それについても、発信者情報の開示などを行うことで責任を持って対応させて頂きます。

顧問契約のすすめ

クレーム対応は、継続的に行う必要があります。もちろん、毅然と対処すべきクレームで、手に負えないものというのは、さほど頻繁にあるわけではないでしょう。

しかし、普段のクレームに対応する体制を整えるためには、ある程度継続的に弁護士に相談しておく方がベターです。トラブルの種は芽の内に摘むのが基本です。初動を間違えたために問題が大きくなることは決して少なくありません。

なお、弁護士に相談すると言うことは、それ自体が対応の支えになるという面もあります。弁護士に相談しても、従業員によるクレーム対応の内容は同じだったと言うことも多いでしょう。しかし、従業員の方は、自信を持って対応出来るはずですし、より詳しい説明が出来るようになるでしょう。相手に対する説得力が増しクレームが収まるというケースも、決して少なくはありません。

クレーム対応に限らず、顧問先の方々からは、こういう対応でいいでしょうか?という相談が寄せられます。単発相談では、こういった相談に対応するにも事務所に足を運んでいただき、詳しい説明をお聞きする必要があります。むしろ、顧問契約を結んで頂かなければ相談頂くことが難しいといえるかもしれません。

繰り返しになりますが、深刻になってから相談を受けるケースでも、当初の段階で適切に処理すればさほど大きな問題にならなかったと思えるケースも少なくありません。早めに弁護士に相談する関係を築けていれば、多くのトラブルは避けられるはずです。

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