事業再生には、「経営改善計画策定支援」という形で、認定支援機関が関わることができます。
その費用の一部が補助金として助成されます(上限3分の2)。
経営改善計画を策定することで、金融機関のリスケに応じやすくなり、結果的に、事業再生が可能になってくるわけです。
事業再生の手段として考えた場合、売上が5億円くらいまでの小規模な企業に関する事業再生が念頭に置かれています。
中小企業とは
認定支援機関による支援の対象となる中小企業は、下表のとおり、業種ごとに、資本金額、従業員数の上限が決まっています(そのほか、政令で定め例外的に支援可能な組織もありますがここでは省略します)。
業種 | 資本金(または出資総額) | 従業員数 |
---|---|---|
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
※いずれか一方でOK。
事業再生が可能な最低限の体力
認定支援機関が支援する事業再生では、金融機関に対し、利息の支払いのみを行うことを申し出たうえで、経営改善計画を策定していきます。破産のケースとは異なり、すべての支払いを止めることができるわけではありません。
したがって、最低限、追加の借り入れなしで、取引に関する支払+金融機関に対する利息の支払を半年くらいは続けられることが必要です。
要求される経営改善の内容(実抜計画・合実計画)
経営改善計画は、実抜計画(実現可能性の高い抜本的な経営再建計画)とか、合実計画(合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画)といった表現が使われます。
いずれも、黒字化や債務超過、債務償還年数に関する数値の基準で、前者の方が厳しいですが、中小企業の事業再生では、後者の基準を満たせばよいとされています。
具体的には、
①3年以内の黒字化
②原則5年以内(最悪10年以内)の債務超過解消
③計画終了時(=債務超過解消時)に債務償還年数(健全なレベルの運転資金の借入を除く債務を完済するのにかかる年数)が概ね10年以内
という3つの基準になります。
このような計画をすぐにすることが困難な場合、「暫定リスケ」という形で何年か(多くの場合は3年)正式な計画前に猶予をもらうこともあります。
実際の流れ
経営改善計画策定支援による事業再生を行う場合、利用申請に関してメインバンクから承諾をもらった上で各金融機関に報告し、経営改善支援センターに制度の利用申請をするところから始まります。
その上で、多くの場合は、半年程度元本の返済を据え置いてもらい、経営改善計画書を作成します。経営改善計画書には、財務諸表や資金繰り実績表といった財務関係の書類のほか、ビジネスモデル(業種や取引先などの概要)を説明する書面、具体的施策や実施時期などを説明する書面などがあります。
経営改善に関する様々な施策をとったうえで、前述の合実計画に合致するような計画を立てていくわけです。
支払いについては、多くの場合は、各金融機関の残債務額に応じて比例配分した額を弁済していく(プロラタ返済と言われます)のが通常です。
経営モニタリング
経営改善計画は、何年にもわたる長丁場の計画です。そして、計画を出して終わり、ではありません。計画通りに改善しているかどうかを3年程度は確認する作業があります。
債権のカット(実質的なカットを含む)について
経営改善計画策定支援においても、債権放棄やDDS、DESといった実質的債権放棄に準ずる手段が否定されているわけではありません。
しかし、これについては、金融機関側のハードルが高く、中小企業の再生では、困難なケースがほとんどであるのが実情です。
元々、経営改善計画策定は、金融円滑化法下で、金融機関がリスケ等に応じやすくなる制度として機能していました。その制度趣旨からしても、リスケの実現が本来的な役割と言える部分もあります。
このため、私は、基本的には、経営改善計画策定支援の利用は、リスケにより合実計画が実現できるケースを基本に考えています。
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