技能実習は2017年に制度が大きく変わり、特定技能は2019年に新設された制度であり、それぞれについては別ページで詳しく説明させていただいていますが、もちろん、それ以前から、外国人の労働を認める在留資格はありました。
ここでは、外国人雇用との関係で、比較的多い在留資格について説明します。
なお、入管手続の代理(申請取次)は、入管法施行規則の規定に基づき届出を行った弁護士・行政書士でなければ出来ません。続に届出済証明書をピンクカードと言いますが、私はピンクカードを取得しています。
在留資格の種類の多さ
現在、在留資格は、全部で29あるとされています。ただし、この中には、技能実習や特定技能、特定活動が1つと数えられた上での29です。
別ページでもご説明したとおり、技能実習や特定技能は、多くの分野での就労が前提とされていますから、特定の職種に限定して在留を認める就労資格と比較すると、本当に1つと数えていいのか、という点は疑問です。特定活動に至っては、研究機関での特定分野に関する研究とかその家族であること、外交官・領事館の家事使用人、国交のない国(台湾など)の外交に関する職員、ワーキングホリデー、アマチュアスポーツ選手、外国人弁護士、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、求職中の卒業留学生などが、全部ひとくくりで「特定活動」となっています。これらを真面目に別の資格として数えていくと、100以上にもなります。
在留資格の分類
在留資格は、大きく、①一定範囲内で就労できる在留資格②就労できない在留資格③就労の可否が許可の内容によって変わる在留資格④就労制限のない在留資格に分かれます。
①一定範囲内で就労できる在留資格は、就労ビザといわれるものです(以下、このページでもこのように呼びます)。仕事の内容を理由に認められた在留資格なので、当然、その内容に就労の範囲は限定されます。外交、芸術、宗教、報道、高度専門職、技術・人文知識・国際業務等と言った形に分かれています。技能実習や特定技能もここに分類されます。
②就労できない在留資格は、短期滞在の他、留学、家族滞在(就労ビザなどを持つ人の扶養家族)、などは、就労できない資格とされています。ただし、資格外活動許可を取得することで、一定の仕事が出来ます。
③就労の可否が許可の内容によって変わる在留資格としては、特定活動があります。上記の通り、実質的に同じとはいいがたい内容が含まれていますので、就労が前提となっている特定活動については、就労が可能です。
④就労制限のない在留資格は、身分を理由として在留が認められている場合が該当します。永住者やその配偶者、日本人の配偶者、定住者がこれに該当します。
技術・人文知識・国際業務等について
技術・人文知識・国際業務等は、就労ビザの中でもっとも多い在留資格で、技人国と略されることもあります。技術者、ビジネス職、通訳や語学講師をひとくくりで1つの資格にしているのですから、ある意味当然かもしれません。
ある程度の専門知識があるとの前提で認定される資格です。
留学生が卒業後、この技人国の資格を得て日本で就労するケースも多いのですが、ある程度の専門知識が前提になるので、学校での専攻分野との関係で認められるかどうかというところが変る場合があります。大学卒業の場合には、比較的緩やかに認められる一方で、専門学校生は、専攻科目との関連性がある業務であることが何年かは要求されることが多いようです。専攻分野の企業に就職して技人国のビザ取得したものの、早期退職して全く別の分野に転職したようなケースで、在留更新が認められないということもあり得ますので、注意が必要です。
特定活動の内就労を前提としている資格について
外交官等の家事使用人、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者などは、就労を前提とする特定活動ですが、通常の就労ビザとは異なる点があります。それは、所属企業ごとに認められた在留資格なので、同一分野であっても、転職する場合には、就労資格の変更が必要になるということです。
なお、就労ビザの中でも、技能実習や特定技能には同様の縛りがあります。
資格外活動許可による就労について
勉強が本分の留学生や、就労ビザを持つ人に養われている扶養家族は、本来就労が認められない資格ですが、資格外活動許可を受けることで、就労が可能になります。
実際には、留学生を中心に資格外活動許可を受けている人はかなり多く、就労ビザで働いている人よりも多いようです。コンビニの店員さんなどは、専門職ではありませんし、技能実習や特定技能では認められませんので、多くの場合、資格外活動許可を受けた留学生だと思います。
本来就労するための資格ではないので、時間制限などがあります。 多くの場合は週28時間以内(留学生の場合、長期休暇中は制限が緩和されます)の包括許可を受けているようです。ただし、個人事業や請負は包括許可ではダメで、個別許可を取る必要があります。
資格外活動許可の外国人を雇用する場合には、許可の内容を確認しその範囲で就労させることに注意する必要があります。
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