経営理念の必要性
皆さんの会社では、経営理念、ビジョン、ミッションというものをお持ちでしょうか。お持ちの方は、それをどのように経営しているでしょうか。
もっとも大事なものだと思われている方もいらっしゃるでしょうし、コンサルタントや異業種団体の経営勉強会の中には、これを軸に展開している方も多いです。
しかし一方で、なぜ必要なのかピンとこない、という方もいらっしゃると思います。そして、ピンとこない方は、それが大事なんだと思っている方に熱心に説明されても、あまり実感がわかないままここまで来られたのではないでしょうか。
実は私もどちらかというとそちらよりで、自分の業務については、さほどこの点を重視していません。ただ、置かれた立場によっては、必要なもの、有用なものであることも否定しません。
経営理念が重要な場面
従業員への説明
従業員の規模が一定数を超えた場合、チームワークを維持することはどんどん難しくなっていきます。社長が、「自分の考えていること分かるだろ?それに従って動け」では、従業員には全く分かりません。
従業員が1人、2人くらいであれば、以心伝心ということでも成り立つかもしれません。しかし、何十人、何百人となると、そういうわけにはいきません。
多くの人に思いを伝えるためには、どうしても言語化が必要です。
会社としての基本的な考え方を伝えるためには、言語化された経営理念なり、ビジョン、ミッションといった、基本的な枠組が必要なのです。
個別の戦略や戦術は、各担当部署、担当者が決めて行くわけですが、皆が経営理念を意識して同じ方向を向いて行くことで、個別の戦略や戦術も方向の揃ったものになっていきます。もちろん調整は必要ですが、根本的なところが揃っていることは、大切な要素なのです。
経営者自身にとっての有用性
また、経営者の方にとっても有用な場面は多々あるでしょう。
1つは、自分が迷った時の初心に返る場所としてです。うまく行かない時、会社としての岐路に立った時、誰しも悩むタイミングはあります。そんなとき、初心に返る意味で、経営理念が助けてくれることもあるでしょう。
もう1つは逆に、経営者を縛るものとしての役目もあります。ここで、「縛る」というのは、一貫性を持った行動をせざるを得なくなるという意味です。自分の会社の進むべき方向性を決めた以上、その方向に従わなければならないのは、経営者自身も一緒です。そういう意味で、自由度が小さくなることは否定できません。しかし一方で、経営に一貫性がなければ、効率的な経営資源の配分など出来ませんし、従業員もついてきません。そういう意味では、その縛りは必要なものであり、役に立っているのです。
経営理念の作成について
必要性を感じない時期の経営理念作成は効果が少ない
私の周りにいるコンサルタントの中にも、経営理念が一番大事というスタンスの人はいますが、そういった方からは、どれだけ重要性を説いても理解してくれない経営者が多いという不満を聞くことがあります。異業種団体の経営勉強会の幹事役の方からも同じような話を聞きます。
正直なところ、私は、経営者が必要性を感じていない時期には、無理に経営理念を作成する必要はないと考えています。
なぜなら、魂の入った経営理念は作れないからです。経営理念というのは、経営者にとっても従業員にとっても拠り所です。人からのお仕着せで無理矢理考えたものでは、拠り所になど出来ません。したがって、そんなものは役に立ちません。
とりあえず通って追々ブラッシュアップすれば良いという考え方も確かにありますが、気も進まずとりあえず作ったものを見直すなど、普通の人はしません。
私自身、こういう仕事のスタイルである以上、ビジョンやミッションについて検討したことはありますし、文章化もしましたが、日々の業務に役に立っている実感はありません。これは、私が経営方針を1人で決定しており、従業員には事務作業を任せているのみなので、裁量が少なく経営理念で従業員を誘導する必要が少ないこと、弁護士という仕事柄、目の前の困った人を助けるという価値観の方向性ははっきりしており、自分自身が方針に悩むことが少ないことなどが理由と思います。
経営理念の必要性があるかを検討することは必要
ただ、客観的にみて経営理念が必要であっても、それを自覚する機会は中々ありません。従業員が自分の思うように動いてくれないとか、経営が迷走しているけどどうして良いか分からないなどの悩みがある場合には、経営理念を作ることを考えてみても良いかもしれません。
そういう時に経営理念を作れば、自分の会社について振り返る機会になり、会社の置かれた状況を深く考えることも出来るでしょうし、魂の入った経営理念になります。
当事務所の経営理念に対するスタンス
当事務所としては、経営理念は、必要性を感じていない方に無理をして作成をすすめません。ただ、それがツールとして有用だと判断すれば、勧めさせていただくことはあります。経営理念は経営の根幹ではなく、経営を好転させるためのツールだと考えているからです。
経営理念という言葉で話してきましたが、実際に検討作成する場合には、キャッシュフローコーチのメソッドを利用し、ミッション、カンパニースピリッツ、ヴィジョンを検討していく形でアドバイスさせていただきます。
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