弁護士が検討する債権回収には、以下のような方法があります。

任意交渉

相手が何らかの事情があって支払わないという場合、まず行うのは任意の交渉であることは、皆様ご理解頂けると思います。
一方で、相手が何の連絡もなく支払をしてこない場合とか、あるいは納得の行く説明をせず支払猶予だけ求めてくるような場合には、ある程度強く債権回収に入る必要があります。
とはいえ、その場合でも、まず考えられるのは、任意の請求、交渉です。相手の状況を知ることが重要だからです。

ご本人の交渉ではらちがあかないというような場合には、弁護士が交渉の依頼を受け、相手と任意交渉することも考えられます。
ご本人が行う場合に比べ、相手に対して伝わる本気度、切迫度は変わってきます。会社が完全に破綻しているわけではない場合、一部の支払さえ待ってもらえばなんとか会社が回るという場合もあります。こういった場合には、後回しにされないこと、言い換えれば、優先度を上げざるを得ない対応をしていくことが重要になりますが、弁護士が交渉にあたるというだけでも、そのきっかけになることが期待できます。さらには、弁護士が対応することで、相手の雰囲気を読み、より強硬な手段を執るべきか否かという判断をしやすくなります。

内容証明郵便の送付

弁護士による任意交渉は多くの場合、内容証明郵便の送付からスタートすることが多いです。
内容証明郵便というのは、郵便局に、送付した文書の内容の写しが保管されるタイプの郵便を言います。本来は、相手に送ったことを証拠で残しておく必要があるような内容の文書(例えば契約の解除や時効の援用)を送付するときに利用するものですが、文字数の制限があり(電子内容証明郵便の場合はありません)、普通の文書に比べてかなり空白の多い形になり、受け取ったときにかなりの特別感があります。
このため、弁護士の受任の通知と合わせて利用する場合、相手に与えるインパクトが大きいため、交渉のスタートによく利用されます。

仮差押

任意交渉で相手が支払を拒む場合、法的請求を行っていくしかありません。しかし、裁判には時間がかかります。裁判の進行中に他の支払に使ってしまったとか、悪質なケースでは財産隠しをされる可能性も否定できません。
仮差押は、これに対応するための手続で、金銭の請求を行う場合に、相手の不動産や預貯金などを、裁判が終わるまで仮に凍結するための手続きです。仮処分と合わせて、民事保全手続と言われます。
裁判の結論が出る前の段階で保全を図るわけですから、相手への影響も決して小さくありません。凍結に際しては、担保金を準備し、預ける必要があります。

裁判

最終的には、裁判を起こし、勝訴判決を得る必要があります。この場面での弁護士の有用性は言うまでもないでしょう。
時間がかかるのが欠点ではありますが、相手が任意に支払わない場合には最終的には唯一のやむを得ない手段となります。

支払督促

支払督促というのは、債権の存在が争いがない場合に、裁判所を通じて支払督促というものを相手方に送付し、相手から異議が出ない場合には、判決と同様の強制執行をすることができる権利(債務名義)が付与されるというものです。
厳密には、まず支払督促が送付され、2週間以内に異議が申立てられない場合には仮執行宣言付き支払督促が送付され(この段階で強制執行が可能になります)、これも2週間以内に異議が申立てられなければ確定する、という段階を踏む形になります(既判力はありませんので、将来的に争われる余地はあります)。

異議が申立てられた場合には、通常訴訟になります。

裁判所の費用(印紙代)が安いこと、相手が異議を申立てなければ速やかに債務名義を得られるのがメリットです。ただ、相手方の住所地にしか申立てられない(訴訟は、多くの場合自分の住所地でできます。)ので、遠隔地の相手の場合、訴訟に移行した場合、遠隔地で裁判をしなければなりません。最初から訴訟を選択する場合は、多くの場合自分の住所地の裁判所で訴訟を行うことができますので、訴訟への移行の可能性が高い場合には、支払督促によらず通常訴訟を提起する方がいいかもしれません。

民事調停について

裁判所での手続きの中には、民事調停という制度もあります。これは、裁判所の選任した調停委員が間に入っての話合いです。強制力はありません。

裁判所の費用は安いですが、それなりの時間もかかる上に強制力もありませんので、相手にお金がない場合の債権回収では効果が薄いと思います。したがって、私はあまりお勧めしておりません。

民事調停は、債権回収以外の場面でも、弁護士によりよく利用する人、全く利用しない人がいます。

お勧めしないということからもお分かり頂ける通り、私はあまり利用しないタイプです。理由は明確です。話合いの目処があるようなら任意交渉で解決するでしょうし、裁判所を利用して話合いをするにしても、訴訟提起し、程度争点をぶつけた上でお互いの言い分の違いを明確にし、その上で和解の道を探る方が現実的だと考えているからです。

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